詳解!ディレクターのお仕事 part4[PART1] [PART2] [PART3] [PART4]
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| 台本の基礎知識 | ||||||||||||||||
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台本は「企画書」、「構成表」に続く第三の重要文書です。これが書けないとディレクター失格の烙印を押されてしまいます。番組の形式によってはディレクターが書かない(書けない)「台本」もあります。
台本にはいくつか種類があります。
「ドラマの脚本」をディレクターが書くことはまずありません。通常、プロの脚本家(シナリオライター)に依頼するものです。ただし、内容についてのディスカッションにはプロデューサーとともにディレクターも参加しているはずです。
「台本」という形ではありませんが、ラジオ番組においては「進行表」=「台本」です。この「ラジオの進行表」の役割は、テレビでいうところの「台本」にとても近いです。ただ、大きく違うのは「ラジオにはカメラがない」ということ。テレビでは御法度である、「視線を落として進行表(台本)を読む」ことがラジオでは可能です。カンニングペーパーもほとんど必要ないでしょう。つまり、進行表を暗記する必要がないわけです。 また、「進行表」は以前ご紹介した「テレビ番組の構成表」に形式が似ています。テレビ用台本と違って、A4以上の用紙に縦使い横書きで書かれています。この用紙はテレビ台本のように綴られることはなく、一枚一枚分離しています。「シート」という言い方もあるようです。全体の流れを見通すにはこの方がやりやすいので、作り手も出演者も番組の進行が楽です。 *この進行表はディレクターが書いています。
「報道系の進行表」も「台本」の役割を果たしているのは間違いありません。ただし、一般番組の台本とは全く違う代物です。報道系の番組は生放送が多く、構成要素も多岐にわたります。その上打ち合わせの時間が極端に少ないので、「進行表」は放送中でも差し替えや変更が頻繁です。時間に追われる作業なので余計な手間を省くために「進行表」を使うのでしょう。
ディレクターが書きます。これは「台本」というより「構成表」に近いものです。海外での長期ロケや番組内に挿入するショートドラマなどに限って使われる特殊な形式です。台本の体裁は「スタジオ収録」、「コメント台本」と同じです。 地方の民放局では「構成表」の代わりとして使われているようです。
この用紙一枚で「1分」になるように作られています。よって、30分の番組なら30枚の原稿が必要です。また、一行は「3秒」になります。これを目安にして、時間配分を決めながら原稿を書くわけです。その他にもこの用紙の中に様々な「情報」が入るのですが、この「情報」については次回以降に解説します。
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| スタジオ収録台本のポイント(本文抜き) | ||||||||||||
スタジオ収録は、出演者・ゲスト・技術スタッフ・制作スタッフなどなど、多くの人々による共同作業になります。そのため、スタジオ台本作りには、本文以外に以下のような必須事項があります。(あくまで必要最低限のポイントです)
表紙には色々な情報がつまっています。まずは表紙の「色」。スタジオ収録の場合、「一本だけ収録する」ことはほとんどありません。二本録り三本録り(週一回の番組だとすると、まとめて二週分、三週分を録りだめする)が当たり前の世界です。二本録りだと仮定すると、一本目の台本と二本目の台本がハッキリ「違う」印象にしておく必要があります。そこで手っ取り早い方法として、一本目と二本目の表紙の色を別の色にするよう発注しておくのです。これさえしておけば、台本を取り違えるような「混乱」を“見た目一発”で防ぐことが出来るのです。
まず、「スタジオと控え室の場所」。スタッフも出演者もこれを頼りにスタジオや控え室までやって来ます。これを書かなかったらディレクター失格。というか、そんなディレクターはいないはずです。 また、「スタジオの収録時間」も重要。各スタジオは番組ごとに細かく割り振られていて、使える時間も限定されています。例えば「10:30〜15:00」が収録可能な時間なら、その時間内に「本番」を録らなければならないわけです。時間内に録れなかったら、番組を作りたくても作れません。そのため、「スタジオ収録時間」を明記することで、最も重要かつ基本的なタイムスケージュールが確認できるようにしておくのです。 そして、最も必要な情報は・・・「番組名とタイトル」!!これがなかったら台本じゃないです。 最後に「担当者と内線番号」を入れて、表紙は完成。ケアレスミスをしないように気をつけるべき項目ばかりですから、「たがが表紙」ではないのです。
☆表紙以外に書いておくべきもの
テレビ局にはたくさんのスタジオがあり、スタジオによって技術的設備や、広さ&高さ、音響などなどの条件が全く違っています。(番組ごとに固定したスタジオを使えるわけではありません。)そこで、美術スタッフと打ち合わせたセット配置を、台本に簡略な図にして書いておきます。カメラの位置もマイクの数も照明も、これに沿って収録当日の打ち合わせが行われます。 アナウンサーを含めた出演者にも、スタジオ内のだいたいの配置を知らせて、「どう動くか」をある程度想像してもらいます。要するに、スタッフにも出演者にも「心の準備」をさせるのが「配置図」の役目。外せない要素の一つです。(スタジオが固定していたら楽なのに・・・)
これはもう基本中の基本。出演者については 、所属事務所や自宅の連絡先も明記しておきます。スタッフの名前は台本作成中には分からない場合もあって、全員を列挙するのはなかなか難しいです。ただ、出演者もスタッフも「名前を間違える」と、かなり怒られます。(特に有名人の名前を間違ってはいけません。洒落にならない場合があります)
技術スタッフ・出演者からのディレクターへの緊急連絡(あるいはその逆)のために、内線電話番号は必要不可欠なものです。また、内線番号は制作スタッフにとっては別の用途があります。制作を支える美術部・メイク室・生花・食堂(喫茶)・配車係&各出入り口フロント(出演者送迎のため)などの番号を書いておきます。全て収録に大きく関わる部署ですから、書き漏らさないのが鉄則。台本内に簡易電話帳を作っておくわけです。ちょっとの手間で、収録当日がとても楽になる一例です。
ドライ(カメラ無しのリハーサル)・カメリハ・本番について、開始時間の目安を設定しておきます。私の経験上、絶対に時間通りに進まむことはりません。それでも、何の目標もなくダラダラやるよりは、ある程度時間を決めておいた方が、ピリッとしていい感じなんです。 さらに、出演者の「入り時間」、「出時間」についても書いておきます。出演者の送迎の手配などを、制作スタッフが十分に把握しておく必要があるからです。また、忙しい出演者のスケジュール管理の面からも必須項目になります。とにかく、出演者を不愉快にするようなことを避けるために、正確に記しておかなければなりません。テレビは時間が勝負!
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| 台本、締め切り間際の攻防 |
| スタジオ台本はヒト・モノの配置と動き(美術進行)、撮影(カメラ割り)、照明、音声、テロップ・パターン(フリップ)&ロケVTRの再生のタイミング、VTR収録、セットの撤収、などのすべての進行を決める基本部分を担います。つまり台本がスタジオ番組の出来不出来を決めるのです。
台本の書き方は、人それぞれ千差万別。うまく書く方法や楽な書き方(=コツ)は、書いた本人にしか分からないモノ。上手に書けるようになるまではそれなりに苦労しなければなりませんし、「書き方」については「実際に書く」経験が必要です。一年もやればコツはなんとなくつかめてくるのですが、もっと上を目指すとその後がまた大変。よって台本の「テクニック」については触れないでおきます。(私にはテクニックと呼べるモノがありませんでした) で、今回の本題です。台本には、マンガや連載小説のように「締め切り」があります。当然ですね。スタジオ収録の日に台本がなければ何もできません。ここで「“本当の締め切り”は収録当日」であると言えなくはないのですが、そうはいきません。 実際の台本の締め切り(=タイムリミット)は収録の二日前です。 ではなぜ「二日前」なのかといいますと・・・スタジオ収録の場合、出演者がいるからなのです。(このことを忘れてはいけません)。出演者には収録の前に台本を読んでおいてもらう必要があります。収録の趣旨を把握し、理解してもらっておくことで収録当日に慌てずにすみます。このことは番組に携わる、制作および技術スタッフにも言えることです。 *ごく稀に台本の出来が悪すぎて誰も理解できないこともあるらしいですが・・・ つまり、収録の前日までには台本が出演者の手元になければならないのです。 締め切りギリギリで書き上げた場合(=前日に台本が仕上がった場合)、出演者に台本を届けるのに最も活躍するのがバイク便。ただし、コストが高いのでなるべく使わないようにする必要がありました。(低予算番組の担当が多かった) VTRの編集が終わった段階で台本が出来ているのが理想なのですが、これはほとんど無理。それでも3日前までに仕上げれば郵送ですむわけで、コスト的にもこのへんがベストです。でも、このくらい余裕があったことは二三回しかありませんでした。ダメダメディレクターですね(^-^; ただし!台本は、ただ早く書き上げればいいというモノでもありません。早いだけで中身がなければ、ただの「進行表」になってしまいます。このへんが台本の難しくもおもしろいところなんです。「勝負は中身!」 さて、厳密な「締め切り」、いわゆる「動かせないホントの締め切り」は、二日前の深夜(正確には日付が変わって前日)の午前三時ごろでした。台本は上記のように特殊な原稿用紙に書き連ねるわけですが、ただ書いただけでは配れません。そう!印刷しなければいけないんです。(最低でも30〜40部は刷ります。)前日までに刷りたい場合、プリントセンター(印刷担当部署)への入稿のタイムリミットが午前三時ですから、これが本当のリミットということになります。 三時までになんとか入稿すれば翌日の午前10時には、自分のデスクの上に刷り上がった台本が積まれています。プリントセンターのみなさんには頭が上がりません。 それではなぜこんなにギリギリまで書けないのか・・・それは「せっぱつまらないと何もできない」からなんですねえ(笑)私も当然ながらこのタイプでした。逆に言うと 「せっぱつまればなんでもできる」 わけです。少なくとも私の周辺にはこんなヤツが多かった(というかそんなヤツしかいなかった(笑))。上司はさぞヒヤヒヤしていたことでしょう。 *ちなみに、この「本当のタイムリミット」のおかげで、30分番組二本録りの台本を四時間で仕上げるという無茶なことができるようになってしまいました。 みなさん、締め切りは余裕をもってこなしましょう。決してぐーたらディレクターの真似などなさいませんように(^o^)
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| 準備する |
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家を出てから、帰るまで(笑)が収録。ということで早起きが前提になります。絶対遅れてはならない理由、それは・・・ 『技術打ち合わせ』(通称「技打ち」) スタジオカメラマン(複数名)、テクニカルディレクター(TD)、音声さん、照明さん、ビデオエンジニア(VE)、場合によっては美術スタッフも参加するこの打ち合わせ。収録スケジュールの初っぱなで、しかも以下に述べるような大事な役割がありますから、絶対に遅れてはならないのです。今回は仮に9:00集合としておきます。 ディレクターは・・・というか私はとーっても早起きが苦手なのですが、このときばかりはどんな状況でも(先輩に飲みに連れて行かれ、泥酔した翌日であったとしても)、飛び起きます。局に到着して様々な事前準備をすることを考えれば、8:30には自分のデスクについていなければなりません。通勤に約30分かかることを考えれば、7:00には起きていないとやばいです。もし、打ち合わせに遅刻したら・・・怖くて書けません(笑)。(ちなみに私は遅刻経験なし。DであってもFDであっても)諸先輩が遅刻して大変な目に遭っていたことを思うと、「遅刻の恐怖」は凄まじいものです。まあ、人間として当たり前のことですけど。 閑話休題。 この打ち合わせをしないと番組収録がはじまりません。演出側もディレクターはもちろん、フロアディレクター(FD・場合によって複数・ADではなく、ディレクター職の人間が務める。)が打ち合わせに参加し、色々な「決めごと」を大筋で打ち合わせます。集合時間は事前に各スタッフに伝えておきます。(台本の項参照・伝わっていないと大事件になることも)
何故「技術打ち合わせ」が重要なのかを具体的に述べます。 実はこの打ち合わせ、「セット&小道具の配置と出演者の立ち位置」を決めるためにあると言っても過言ではありません。カメラマンやTDからの意見を取り入れた上で、ではありますが、本当は照明さんのためにある打ち合わせなのです。このときに各位置をしっかり決めます。 ディレクターはまず、照明さん、カメラマン、TDに希望する立ち位置などを説明します。ここで実質的「決定権」を持っているのが照明さん。なぜならセッティングに一番時間がかかるからです。テレビは光の扱い方で大きくその画質を左右されるメディアで、特にスタジオの照明を完璧にするには多くの時間と技術が必要になります。要するに「繊細で危険」な作業(照明機器はスタジオ天井部からぶらさがっていて、扱いを誤るとケガ人が出る)なので、これを最初に決めないと収録が前に進まないわけです。 その打ち合わせに遅刻することは、「収録スケジュールを立てられない」ことになり、技術チーム、演出チームに関わらず、スタッフ全員に多大な迷惑をかけることになります。さらに!ディレクターという仕事は「段取りが命」。だからこそ絶対に遅れてはならないわけで、遅刻は即ディレクター失格です。 さて、照明のセッティングが仮決定した段階で、演出側はその立ち位置を「バミり」ます。照明さんは(後述する)カメラリハーサル(カメリハ)前に、この「バミり」を目標にして作業に入る、カメラマンもその位置を計算に入れる、という流れでスタジオ収録への第一段階の準備がはじまります。
セッティングにかかる時間をしっかり見積もって、カメラリハーサルなど、次にスタジオに集まる時間を各スタッフに伝えて「技術打ち合わせ」は終了・・・しないんですねえ、これが(笑)。 番組にもよりますが、30分を超える番組や出演者が多い番組では、このあとに「カメラ割り」をしなければなりません。特別企画(例えばNHKスペシャル)のときには、膨大な時間を「カメラ割り」に費やしますが、今回は40分強の番組一本撮り。カメラ4台(1台はリモート)。メジャーな芸能人1人、進行役アナウンサー1人、素人出演者・メイン2人(その他大勢十数人)という設定で話を進めていきます。
「カメラ割り」は特に複雑な構成の番組でもない限り、10分程度で終わります。ただし、これには前提があります。それは・・・ 「きちんとした台本を書いてあること」 台本がカメラの動きまで計算に入れた緻密なモノでないと、「カメラ割り」は混乱します。カメラマンから「これ撮るカメラないじゃあねーか!しっかり書いてこいっ!!」って怒られたりします。ディレクター側の本音は「前日に台本を渡した時点で指摘してくれ」なのですが、そんなことを現場で言えるはずもなく、自分の怠慢さを呪う結果になります。打ち合わせは長いより短い方が楽ですから、収録当日に右往左往しなくてすむように、周到な準備をしておく、つまり「映像の組み立てをしっかり台本(頭の中)で構成する」ことがディレクターの基本能力といえるでしょう。 さて、書き忘れそうになりましたが、この段階で音声さんに理解しておいてもらうことは「出演者が何人か。ピンマイクはいくつ必要か。それ以外の人からはどうやって音を拾うのか」といった点です。音声上のことは前日に台本を渡すだけでなく、直接コンタクトをとって準備してもらいます。スタジオによって音声機器の環境が異なるので、収録スタジオがどこなのかは絶対に伝えなければなりません。「音にも構成がある」のです。 「VE」は照明及びカメラ、編集済みVTRなどと密接に関わる仕事をしてもらいます。映像のクオリティーを専用機器で常にモニターし、異常があればそれを補正する、というような仕事です。これ、楽に見えてとても大変です。異常に気づけなかったらいる意味がないですから。 そして!!「技打ち」で一番重要かもしれないことがこれ。 「技術スタッフとの顔合わせ」 「顔合わせ」がコミュニケーションの入り口なので、ここでしっかり自己紹介することが重要。声が小さいとFDについてくれた先輩やチーフカメラマンに「もっと、大きな声で自信を持って名乗れ!」と怒られます。制作スタッフも技術スタッフも毎回違う組み合わせになるので、顔と名前を覚えてもらうことが大事。それ以上に技術スタッフの顔と名前を一致させる最初にして最後のチャンスなので、しっかり聞き取っておく必要があります。(技術スタッフは声が小さいことが多く、かなり難しい命題なのですが) 演出家、和田勉氏(元NHKドラマディレクター)は「和田組」と言われるスタッフ集団を築いていたのですが、基本は技術スタッフとの良好なコミュニケーションにあったようです。一例を挙げます。副調整室(サブ・収録の際にディレクターが指揮を執る場所)のカメラモニターは通常、A・B・Cとか1・2・3というラベルを見て、「1カメさん、もう少しアップでお願いします」というような指示を出します。 この点、和田氏は全く違うアプローチををとります。カメラの番号ではなく、一台一台のカメラに誰がついているかをしっかり把握した上で、カメラモニタのラベルの上から担当カメラマンの名前を貼り付けます。こうすると「○○さん、ここは少し引き気味で」と、カメラマンを名指しして指示ができるのです。こんなに気を配れるなんて、ディレクターとしては、制作スタッフにも技術スタッフにも最高の人ですね。寒いギャグはもうやめて欲しいですけど(^o^)。 この話を聞いての教訓。「ディレクターは人心掌握に長けていなければならない」。言うは易し行うは難し。制作に携わる人間にとって、永遠のテーマかもしれません。 (ちなみに私は和田さんの作品(特に『ザ・商社』)は大好きです。最近の作品には、小島聖&竹中直人の「完全なる飼育」があります。結構いけてます。) #まだまだ「準備」は必要ですが、この項はここまで。次項では「演出側の準備」を中心に書きます。
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